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受動態の間違った使い方


中学校では受動態を「~される」「~られる」と訳すことを教わりますが、受動態を使う目的は別のところにあります。
よくありがちな例文誤訳:
The vase was broken by Ichiro.(その花瓶は一郎によって割られた)

小学校の教室をイメージしてみましょう。教卓の上の花瓶がありますが、休憩時間に一郎君が割ってしまいました。教師が来たらみんなで「その花瓶は一郎に割られたんだ!?」と言いました。

会話が不自然ですよね。ふつうは「一郎が花瓶を割ったんだ」と言うはずですが、英語の受動態から連想される「~される」と訳さなければという概念につられて変な日本語訳になってしまいました。

実は、英語でもこの表現は不自然で、Ichiro broke the vase. とする方が自然な表現です。


ポイント 受動態は何のために存在するの?

文中で主語以外に注目したい場合
Thirty-six views of Mt.Fuji was created by Katsushika Hokusai during the 1820s.
(富嶽36景は1820年代に葛飾北斎によって作成された)

作者の葛飾北斎よりも富嶽36景に興味がある場合、上記の例文のように受動態を使って文を作ります。一般的な英語文ではSVとなるため、必ず主語(S)を文中に入れる必要がありますが、受動態ならば主語を書かなくてもokです。


主語が不明、または重要ではないとき
My precious bike was stolen from in front of house.
(家の前に留めておいた高級自転車が盗まれた)

自転車を盗まれる瞬間を目撃しない限り、普通は誰が盗んだのかわかりません。この場合、主語が書けないので受動態にします。


主語が長い場合
I was surprised to hear what was allegedly happening in my house.
(自宅で起こったとされる出来事を聞いて驚いた)

文を元に戻すとWhat was allegedly happening in my house surprised me.となります。英語は主語が長くなることを嫌うので、受動態を使います。


同じ主語を連続して使いたくない場合
文頭にWeやIが並ぶと、文が幼稚に見えてしまいます。受動態を使うと目的語(O)が文頭に来るため、同じ単語の並列を避けることができます。


新しい情報を文末に置いて、文章を読みやすくする場合
I recommend I am a Cat to any person want to know Japanese society during Meiji era. I am a Cat was written by Soseki Natsume.
(明治時代の日本社会を知りたいという人には”吾輩は猫である”を薦めます。”吾輩は猫である”は夏目漱石によって書かれました)

夏目漱石は新情報であるため文末に書きます。Soseki Natsume wrote "I am a Cat."とするとありふれた(くどい)表現になってしまいます。



受動態の訳と使い方

It is said that Romulus and his twin brother Remus, apparent sons of the god Mars, who were suckled by a wolf after being abandoned.

まずは文型の判断を行います。Itは仮主語で、動詞はis saidで受動態になっているのが分かります。受動態になっている理由は、ローマの建国神話なので実際にロムルスとレムスがオオカミに育てられた場面を目撃した人がいないからです。

文中の「, ,」に挿まれた箇所は読み飛ばして、whoから後ろを見ます。whoは関係代名詞でロムルスとレムスに掛かっています。a wolf suckled Romulus and his twin brother Remusが能動態の文ですが、ロムルスとレムスに焦点を当てたいので、文を受動態にして目的語(O)のRomulusとRemusを主語の位置に置きました。ローマ建国の物語でオオカミを主語にしてもしょうがないですからね。

文全体の訳は「軍神マルスの子として生まれた双子のロムルスとレムスは、捨てられた後オオカミに育てられた」となります。「, ,」に書かれた部分の訳は、最後に付け加えるとスムーズに全体の訳がつながると思います。

主語が言わずもがなで受動態

More recently, attempts have been made to find a linguistic root for the name of Rome.

まずは動詞を探します。have been madeで受動態になっていますが、動詞(V)が見つかりました。元の文に戻してみると、主語(S) make attenpts で第3文型になっているので、「Sは試みを行う」という意味になります。後ろのto不定詞の用法は判断できますか?忘れた場合は不定詞の役割を確認してください。

例文を読んでみると「どんな試み」を行うのかな?と疑問に思ったはずです。名詞のattemptsに説明を加えることができるのは形容詞だけなので、この不定詞の用法は当然形容詞用法になります。

文全体の訳は、「近年、Rome(ローマ)の言語的な由来を調べる試みが行われている」となります。受動態にした理由は、主語(S)は言語学者であることが明確なので、あえて主語を明示しなくても読み手に誤解なく伝わることができるからです。

もしも受動態を使わなければ、Lingistic scholors have made attempts to find a linguistic root for the name of Rome. となり、書き手が何を言いたいのか分かりにくくなりました。Romeという都市の名前について着目した場合、受動態を使うことで本来目的語の位置にあるRomaを主語の位置に持ってくることができます。

Romeの由来は、Romulus(ロムルス)に由来すると一般的に言われていますが、ギリシャ語の「Ῥώμη(勇気)」、エトルリア語の「urobsma(テヴェレ川の旧名)」などの説もあるようです。


練習 次の文を日本訳してみよう

まずは簡単な例文から見ていきましょう。
Roman expansion was mostly accomplished under the Republic,though parts of northen Europe were conquered in the 1st century AD.

まずは動詞を探します。accomplishとconquerが見つかりました。動詞の数は2つなので、接続詞が1つ見つかるはずです。詳細はまた別の単元で説明しますが、動詞の数から1引いた数が接続詞の数になります。今回は2-1で接続詞thoughが1つ見つかり矛盾はありません。接続詞がSVの前に付いている文が従属節になります。

主節の文を能動態に戻してみると、主語(S) accomplished Roman expansion となります。文型はSVOで、訳は「Sはローマの領土拡大を成し遂げた」となります。主語(S)に入るのはローマ市民(軍)ですが、主語をすべてローマ市民にすると回りくどくなるので受動態を使っています。従属節も同様に能動態に戻してみると、S conquered parts of northen Europeとなります。

受動態の訳に迷った場合は、一度能動態に戻してみましょう。受動態は目的語(O)を主語(S)の位置に移動させたものなので、当然能動態に戻しても問題ありません。文全体の訳は「ローマの領土拡大の大半は共和政下で行われたが、北部ヨーロッパの征服は紀元前1世紀に行われた」となります。


例文:Nero was adopted by his grand-uncle Claudius to become his heir and successor.

この例文ですが、文頭から順に単語訳をつなげていくと間違った訳になります。「ネロは大叔父クラウディウス帝によって養子にされ」とまず訳し、不定詞to becomeを直前にある名詞Claudiusにつなげて、「クラウディウス帝は彼の後継者になった」と訳すると壊滅的です。文全体を見て文型判断をした後に、訳が決まることを意識しましょう。

英語を母国語としない日本人と違って、ネイティブは文型判断を一瞬で行うことができるため、あたかも文頭から訳しているように見えるだけです。(そして無意識に文型判断を行っています)

まずは動詞を探しましょう。するとadoptが見つかりました。能動態に戻してみるとClaudius adopted Nero.となります。adoptはSVO文型を取り、「~を養子にする」という他動詞です。

to不定詞は文の構成要素にならないのでMで形容詞または副詞用法のどちらかとなります。ここで、ローマ皇帝のネロは日本でも暴君として有名ですよね。文を読んだ人は、who is Neroとは思わないので形容詞用法でネロを説明する必要はありません。そこで不定詞を副詞用法の「目的」の意味で訳します。

文全体の意味は「ネロはクラウディウス帝の後継者として養子に指名された」となります。受験での和訳であれば、能動態に書き換えて「クラウディウス帝は後継者にするためネロを養子にした」と訳しても問題ありません。


重要!受動態の訳し方

1.まずは能動態に戻して、文型を確認する
  →受動態は目的語(O)が主語(S)の位置に移動している

2.訳は能動態でもOK!
3.「~される」「~られる」と単純に訳すと間違えるので注意
4.なぜ受動態になっているのか考えよう


より詳しく勉強したい人には下の英語文法書がおススメです。  



英文は「wikipedia - Histry of Rome」と「Roman Empire」から引用しました。
ローマに興味がある人は「ローマ人の物語 塩野七生」がおススメですが、受験を予定している方は面白いので止まらなくなり、受験勉強が進まなくなるので注意してください。

 関連するサイト

  →文型と品詞
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